ブレそうにない意志を眼差しの強さで表しているようだ。
タクミはケイトからの手紙を栢木に差し出すと困ったように笑ってため息を吐いた。
「…先生ですか?」
「離れたくないの。」
「添い遂げるつもりで?」
「まさか。私の一方的な思いよ。」
「なのに残るんですか。」
最後のタクミの言葉は強かったと思う。
それは互いに強い覚悟で思いあっている訳でも無いのに傍に居てどうするのだと言っていた。
「迷惑かけますよ。」
この屋敷までキリュウが押しかけてくるのは目に見えている。
栢木が過ごす殆どの時間が北都と重なっているのであれば間違いなく巻き込むだろう。
「一度離れて、事が収まってから戻ってきたらどうですか。」
タクミから見ても今日の北都の様子を思う限りは栢木の事を思っていると感じていた。
だったらタオットの企みが成功するまで離れるくらい何の問題は無い筈だ。
「何も危険な橋を渡ることないでしょ。お嬢さん。」
「でもね、動けないのよ。」
どうして、そんな意味を込めてタクミは目を細めた。
「私と北都さんとの距離は一定で、私が歩き続けることで保たれているようなものなの。私が少しでも離れたり止まってしまえば…この距離は二度と近付くことは無いわ。」
「まさか。」
「鳥みたいな人。でも…飛べる筈なのに…飛ばない鳥、北都さんはそんな人よ。」
そう言うと栢木は遠い目をしつつもふわりと笑みをこぼしてタクミを見上げた。
しかしピンと来なかったタクミは片眉を上げて難しそうな顔をする。
タクミはケイトからの手紙を栢木に差し出すと困ったように笑ってため息を吐いた。
「…先生ですか?」
「離れたくないの。」
「添い遂げるつもりで?」
「まさか。私の一方的な思いよ。」
「なのに残るんですか。」
最後のタクミの言葉は強かったと思う。
それは互いに強い覚悟で思いあっている訳でも無いのに傍に居てどうするのだと言っていた。
「迷惑かけますよ。」
この屋敷までキリュウが押しかけてくるのは目に見えている。
栢木が過ごす殆どの時間が北都と重なっているのであれば間違いなく巻き込むだろう。
「一度離れて、事が収まってから戻ってきたらどうですか。」
タクミから見ても今日の北都の様子を思う限りは栢木の事を思っていると感じていた。
だったらタオットの企みが成功するまで離れるくらい何の問題は無い筈だ。
「何も危険な橋を渡ることないでしょ。お嬢さん。」
「でもね、動けないのよ。」
どうして、そんな意味を込めてタクミは目を細めた。
「私と北都さんとの距離は一定で、私が歩き続けることで保たれているようなものなの。私が少しでも離れたり止まってしまえば…この距離は二度と近付くことは無いわ。」
「まさか。」
「鳥みたいな人。でも…飛べる筈なのに…飛ばない鳥、北都さんはそんな人よ。」
そう言うと栢木は遠い目をしつつもふわりと笑みをこぼしてタクミを見上げた。
しかしピンと来なかったタクミは片眉を上げて難しそうな顔をする。



