スターチス


ソラ姉が何を思ってユーイチを出したのかはわからないけど、もうこれ以上はユーイチに迷惑をかけられないし、ユーイチの自由のためにも一人暮らしをしたほうがいい。

こうして寂しくなるたびにソラ姉のように頼ってたら、ユーイチはいつまで経ってもあたしから離れることはできないし、あたしもユーイチに甘えたままになる。
だから、こういうのは早めに解消したほうがいいと思う、とソラ姉に告げた。

《サチの気持ちはわかった。でも、一度ユーイチと話してみたら?》
「ユーイチはどっちでもいいって言ったもん」

そう言うと、《あのバカ!》と叫んだから、思わず「なにが?!」と言うと《こっちの話よ》と盛大な溜息を吐いてた。

「あたしの一人暮らし計画にユーイチは関係ないよ。あたしが居たらユーイチの迷惑になるだけだし、あたしが一緒に住んでるとユーイチ自由になれないから」

だから最後はあたしが出て行こうと思って、と言おうとしたら背後から携帯を取られた。
顔を上げると自分の部屋に戻ってリビングにはいないはずのユーイチが背後にいて、あたしの携帯を耳に当てて当たり前のようにソラ姉と話し始めた。

「うるさい」「知らない」「俺も今知った」「わかってる」を何回か繰り返すと話し終えたのか、無感情な目で携帯を返してくれた。

「ソラが代われって」

代われって、あんたが勝手に奪ったんでしょう、と一睨みすると無表情で返ってきて気まずくなって携帯を耳に当てた。

《サチ?》
「うん」

ユーイチと話して興奮状態になってたのか、自分を落ち着かせるように大きく息を吸い込んで吐き出すと《いい?》と前置きをして話し始めた。

《あたしが電話を切ったら、ユーイチと話し合いなさい》
「なんで?」
《黙って聞いて》

何故か怒られている気分になって、あたしは再び聞く姿勢にはいる。

《ユーイチと話し合って、これから本当に一人暮らしをするのか決めて。それと、》

いまだ興奮状態が落ち着かないのか、また一息置いて落ち着かせたあとに言った。