帽子のおじさん

男は横座りだった体勢を、普通に腰掛けるように戻し、隣に手招きする。


自意識過剰なのか、私は更に背筋を凍らせた。


「あー、だいじょぶだから、俺、そういう変な意味で言ったんじゃないよ!」


私の気持ちを察したらしく、警戒を解こうと必死だ。


大人だからなのか、先程から自分の心を見透かされている気分になる。


というか、この人の隣に座りたくはない。


しかも土足で座っていたこのベンチに。


あんたの座った後とか汚ねぇーよー。


男は不思議そうに私を見つめた。


「へぇ…君そういうキャラなの?」


「えっ?」


まさかだった。


この男、私の思った通り。


「あの…心読めるですか?」


すかさず私は聞いた。


「あ、まあ、うん…実はね。」