帽子のおじさん

私の思考回路は強制停止する。


今までのまき夫の声が妥だ漏れだ。


男はクスクスと、帽子とマスクの間からニッコリと細くなった目を見せた。


私は恥ずかしくなり不機嫌に俯いた。


「そんな恥ずかしがんなくて大丈夫。いろいろな考えてる証拠なんだし。まきおちゃん。」


「何で私の名前!?」


「え、ああ、心の中で聞こえてた。早く逃げろまきおー!とかなんとか。」


そういうことか。


「なんだか君、もう一人の人格がいるのかな?男っぽい感じの。」


私は自白した。


「それはまき夫です。夫と書いて、まき夫。」


「だぁっはっはっは!!まき夫!おもしれー!!」


思い切り笑われてしまった。


「な、良いじゃないですかっ!てか、まき夫は私の本心なんだよっ!」


つい口が荒くなり、ハッと我に返る。


「じゃあ俺の前ではまき夫くんで話せば良いよ。」