二回目の待ち合わせは、日椎の方が早く来ていた。
時刻を確認すると約束の十分前。
アイツ、いつから待ってたんだ?
日椎との数メートルの距離を少し駆け足で近付く。
「ごめん、結構待った?」
「いや、俺が早く来すぎただけだから。」
最近気付いたことがある。
日椎の服装には白と黒しかない。
それ以外の色はない。
今日も色味のない服装。
着こなしているから特に違和感はないんだけど……
こうも徹底しているとちょっと気になる。
「日椎はさ、白が好き?黒が好き?」
「……どうしてその二択?」
「何となく。ほら、いつも白黒の服だから……好きなのかなって。こだわったりしてるのか?」
「いや、特に服とか興味ないし。」
何て言っているけれど、センスはなかなかだと思う。
むしろ分けてほしいぐらい………。
「興味ないわりには結構気遣ってない?」
「あー……姉さんがうるさいから。」
「日椎、姉ちゃんいたんだ?」
「いるよ。あと妹。」
へぇー……知らなかった。
「日椎の姉ちゃんと妹なら美人なんだろうなぁ。」
「…………ふ、ははは、何それ。」
「あ、やば、今声に出してた?」
「うん。妹は年が離れてるし可愛いよ。でも姉さんは普通。俺と似てないし。」
日椎の普通のレベルが分からん。
絶対美人だと思う。
「妹はいくつなの?」
「今年で十歳。」
「本当に離れてるんだな。」
「うん、俺の親、再婚してるから。」
「あ、そうなんだ。なんかごめん。」
また、知らないこと………。
本当に、全然知らない。
まぁ、当たり前のことなんだけど……
何か、ちょっと、モヤモヤする。
「…家族は好きだから、謝る必要はないよ。」
「うん………。あ、写真とかないの?見てみたい。」
「そう言うのはないな。あんまり撮らないし。……そんなに気になる?」
「まぁ、興味あるかな。」
「じゃあ、会ってみる?」
「え!?」
「遊びに来れば会えるよ。」
遊びにって……
日椎の家にってことだよな?
「い、いいのか?俺なんかが行っても……」
「どうして?別に問題ない。」
「そう、なんだ………」
日椎はプライベートに他人を立ち入らせたくないタイプだと勝手に思っていた俺は、呆気に取られた。
「………何をそんなに驚くこと?」
「ちょっと意外だったと言うか……。」
「………俺にどんなイメージ持っているんだか。来週とか山碼が空いている日に遊びに来ればいい。」


