この幸せな味をいち早く共有したい。
一口サイズのパンケーキをフォークで日椎の口元に運ぶ。
「はい、あーん。」
「ぇ………」
日椎は瞠目したまま差し出したパンケーキを見つめた。
「ほら、めっちゃ旨いから食ってみろよ!」
何をグズグズしているんだか。
せっかく焼きたてで美味しいんだから、早く口にしないと冷めてしまう。
「日椎、あーん」
「……本当に無防備。」
「え?何?」
「いや…………」
日椎は少し躊躇ったように考えたあと、差し出したパンケーキにパクりと食らいついた。
その光景を見て、なんだか急に恥ずかしくなった。
あれ、俺、結構恥ずかしいことしちゃった?
「……ん、旨い。苺?」
「え、あ、うん。そりゃこんだけ赤いソースなんだし、苺ぐらいしか思い付かないよ。あはははは。」
「…………そだね。」
ペロリと口の端に付いたソースを取る仕草にドキドキする。
うぅ、何か色気あるよな……。
「………何?」
「な、何でもない!」
「やっぱ甘いな。食えるだけ食ってよ。」
と、コーヒーを一口。
「………おう。」
やっぱり、コイツといると、そわそわする。


