そわそわする。


土曜日の駅前はどこから湧いてくるんだと思うぐらい人だらけ。
老若男女問わず人、人、人で溢れかえっていた。


腕時計を見ると13時5分。
待ち合わせを指定してきた本人はまだ見えない。


こうして日椎を待っていると、そわそわとした感覚に襲われる。

緊張、してるのか………?

………今日の服、地味だったかな。
アイツ見た目はいいから、一緒に並ぶと目立つんだろうな。
うーん、やっぱもうちょっとお洒落してくれば良かったか?


「………お待たせ、何してるの?」



自分のズボンと睨めっこしていたら頭上から声がした。

顔を上げれば笑いをこらえている日椎の姿。


上から下まで白と黒だけでコーディネートされた服は、日椎によく似合っていた。


羨ましいぐらいスタイルいいな。



「えっと、ズボンと睨めっこ?」
「………ふ、ははは、ほんと変な人。」



日椎が笑うと胸の辺りが温かくなるっていうか、嬉しくなるっていうか。
もっと笑っててほしいって思うんだよな。


「で、今日はどこに付き合えばいいんだ?」
「ああ、うん。それにはまだ時間があるから、少しお茶でも飲もうか。」


日椎が指したのは近くのカフェ。


背中をついていけば、周りの視線が日椎に向けられていることに気付く。


まぁ、そうなるわな。


「………ここ、パンケーキが有名らしいよ。」

カフェのドアに手をかけて、日椎は言った。


中は落ち着いていて、人も少ない。

二人なのに、四人がけのゆったりとした席に案内される。