君の願い


「何が言いたいの。」

真顔になったその人。
せせら笑う俺。

「ちゃんと、色々 考えた⁇
それとも、さっき俺が言ったように 生きている感情に身を任せて 死のうとしてた⁇

後者ならさ……、本当は生きていたいんじゃないの⁇」

何とも言えない顔をしていらっしゃる。
怒ったような、泣いたような、寂しそうな、嬉しそうな、何処か 吹っ切れたような。

「まぁ、あくまでも自論だがな。」

俺は座ったまま、その場で伸びをした。

さっき海に入って濡れたままのズボンの裾が気持ち悪い。

ついさっきまで、なんか 熱く語ってたから 気にならなかったけど。

……こんなに自分の意見を誰かに言うなんて 俺らしくもない。

きっと麗夜とかが 今の俺の様子を見たら "酒でも呑んだ!?" とか言うんだろうな。

「私の話し、聞いて欲しいの。」

ようやく、決心がついたんだろうか。

「いつ始めてもいい。」

俺は 急に話が始まっても構わないよう 全神経を耳に注いだ。

……海辺だから余計に声 聞き取りづらいしな。

「じゃあ、始めるね。」