君の願い


砂浜に座った。
その人も砂浜に座った。

なんか、変な距離感。
地味に遠い……、だから 少しその人の方に寄ったけど その分 その人は遠かっていった。

嫌がってるなら、無理に詰めなくていいや。

「で、何⁇どうした⁇」

「そんな軽く言える話じゃない。
きっと、引かれる。」

まぁ、自分で自分の命を絶つことさえ考えさせるような内容のはずだから 軽いわけないか。

「ちゃんと、受け止めてやるから。
安心しろ。」

こんな簡単に口から出る言葉で安心してもらえるとは思ってないけど。

でも、もし 安心してもらえるのなら 一言で済むから言った方がいいかと思って。

「あのね……」

「うん。」

……。
……、……。
……、……、……え⁇続かないのか⁇

「やっぱり、話すのやめた。」

海の方を見据えるその人。

「何で⁇俺、話し聞く気満々だったんだけど。」

文句を垂らした。

「だって、もし私がそれを言ってどうなるの⁇」

「確かにー、それな。」

背中をバシンーと叩かれた。
痛え、ってか 腕 長え。

「そもそも、こんな見ず知らずの私の話しを聞いても楽しくないでしょ。」

うん、楽しさを求めて 話し聞きたい、って言ってるんじゃないしな。

「善人ぶって、その優しさに私を漬け込ませて どうしたいの⁇」

そんな、俺 馬鹿だから そんなことまで考えなんて及んでない。

「とどのつまり、何⁇」

「何でもない。」

驚いた顔を向けられた。