『湊っ、助けっ』


『早織!!』



早織が川に流されていくから、私はまた必死に近づこうとして……。


「……おい……なと!」



そうだ、私は手を伸ばしてって必死に叫んだ。

あの手だけは、離しちゃいけないって……思ったのに。



「おい、湊!!」


「えっ……?」




突然、靄が晴れたみたいに視界がクリアになる。

すると、川の音もいつの間にか消えて、みんなの楽しそうな声が聞こえてきた。


あれ、私どうしてたんだっけ……。

そうだ、ここで見学しながら、あの時のことを思い出して……。



「何度も呼んだんだぞ、湊!」


目の前に、上半身裸の水着を履いた海斗の姿がある。

あ、海斗って、細身かと思いきや……結構筋肉でガッシリしてたんだ。


――ドキンッ。

って、私何恥ずかしいこと考えてんの。

顔が、火を吹くみたいに熱くなる。


そんな呑気なことを考えてると、海斗は私の前にしゃがんで、私の前髪をかき上げてきた。