「いいな、俺にもちょっとちょうだい?」
「いいけど、そんなに感動するほど美味しくはないからね?だから、期待しな……」
「よっしゃ!いただきまーす!」
私の言葉を最後まで聞いてよね……。
もう、いっつも海斗のペースなんだから。
それに呆れつつも、私の卵焼きをモグモグと食べる海斗が気になる。
味、大丈夫だったかな……。
海斗に食べてもらうなら、もっと綺麗に焼けば良かった。
なんて、今更だけど。
「んぐ……う、うまい!!」
「えっ、ほ、本当?」
どうしよう、不覚にも嬉しくて舞い上がりそうになった。
気に入ってもらえて、良かった。
「真木さんは、料理上手なんだね」
すると、さっきまで静かだった毒島さんが小さく笑って私のお弁当を見つめた。
真木、さんか……。
そういえば、海斗と尚先輩に、名前で呼ぶと距離が縮まるって、言われたことがあった。
それなら、毒島さんだと……なんかよそよそしいよね、友達なのに。
今なら、海斗たちの言葉の意味がちゃんと分かった。


