「みんなと足並み揃えようってしてるうちに、自分が本当は何を望んてんのか分からなくなるもんだけど……」
「普通は、そんなんじゃないかな。誰だって、人から良く思われたいもん」
それはすなわち、自分の言葉にいつでも納得してくれるYESマンが欲しいから。
誰しも、嫌われるのは嫌だからね。
「でも、湊はそうじゃなかった……自分を持ってるっつーか、マジで尊敬した」
「そんな、大それたことしてない……」
「いや、湊はすげーよ。クラスでは1人でいて、静かな女の子かと思えば……ハッキリ自分の意見を言えて、自分を持ってる」
私って、海斗からはそう思われてたんだ。
なんか、嬉しいな……。
自分を持ってるって、容姿を褒められたりするより、ずっと嬉しい。
私という人間を好きになってくれたみたいで。
「だから、そんな湊に気づいたのは、俺が一番だって思ってたのによ」
「え……?」
「みんなの知らない湊のこと、俺だけが知ってたらって思ったってこと!」
たぶん……海斗しか知らないと思うけどな。
海斗は、それが尚先輩だって言いたいのかな。


