「早織……ねぇ、早織!!」



やだ、早織どこに行っちゃったの!?


辺りを何度も見渡して、親友の姿を必死に探す。

すると、一瞬、ジャボンッという水の音とともに、水面から
伸びる手が見えた。


あっ……早織だ!!


「湊っ、助けっ」


「早織!!」



早織は、何度も水面から顔を出したり沈んだりを繰り返して、川に流されてる。


――バシャンッ、バシャンッ。



「早織っ、早織、手を伸ばして!!」


早織に近づいてって、必死に手を伸ばす。

お願いっ、届いて!!



「湊っ、みなっ……ゴボッ」


早織は、また川の中に沈んでしまう。

その手を咄嗟に掴むと、急に足元が無くなった。


えっ……?


――バシャンッ!!

「早織っ……ゴボゴボッ」


本当に一瞬だった。

足を取られた私は、水を沢山飲みながら、沈んでいく。

ブクブクと耳に水が入り、服に染み込んだ水が、体を重く感じさせた。



……早織っ!!

この繋いだ手だけは、離さないっ。

絶対に、離しちゃいけない!!



そう思った私は、繋いだ手を強く握る。

でも、次第に息が苦しくなって、意識が朦朧としてきた。


早織……早織っ。

そして、手に力が入らなくなると……。


パッと、繋いだ手が離れてしまい、そこで私の意識もプツリと途切れてしまうのだった。