『湊、あぁいうの許せないんだけど』
「大丈夫、私もだから」
こういうこと、ただ見て見ぬ振りできる人間じゃなくて良かった。
だって、私の親友がそういう人だから。
私も、早織と同じくらい強く、間違ったことは違うよって言える人でいたい。
だから、ズカズカと人だかりの中へと歩いていく。
「ブス島さぁーん、そんな顔で経験とかあるのぉー?」
「まだバージンかよ、しょーがねーな、俺が貰ってやろーか?100万円でな!」
「ギャハハッ!!」
下品だし、最低な会話。
人を傷つけることでしか、仲間を作れないんだ。
「……すみま……」
「謝る必要ないよ」
俯いて、廊下の真ん中で見世物になっている毒島さんの傍に立って、そう声をかけた。
「え……?」
すると、毒島さんは私を驚いたように見つめる。
「あー、真木さんならいつでも大歓迎!変人でも、美人はウエルカム!」
「あはは!真木さんと毒島さんの二択なわけ!?超キツイんだけどー!」
そう言った男子と女子に視線を向ける。
こんな人たちに、キツイとか言われたくない。