「おっ!ナイスシュート、海斗!!」
「お前がいいパスくれたからだろ!」
――パチンッ。
チームの男子と笑顔でハイタッチをする海斗は、やっぱりみんなを惹き付ける人気者で……。
本当なら、私なんかが関わるような種類の人間じゃない。
『湊、みんな同じ人だよ』
「え?」
さっきまで私をからかっていたはずの早織の声が、少しだけ下がって真剣味を帯びた気がした。
それに驚いて、隣に座る早織を見つめる。
『クラスの人気者だろうと、湊と同じ人だよ。だから、そんなに身構えなくてもいいと思うな』
「でも……私と海斗とじゃ、なんというか……友達として釣り合わない気がする」
だってあっちはクラスの人気者で……。
私はクラスで浮いた人間で……。
あまりにも正反対すぎる。
『釣り合う釣り合わないとか、そういうんじゃなくて……。湊が、海斗の傍にいて楽しいかってことが大事なの!』
「それは……」
きっと、たぶん……。
私は海斗と話すことが楽しいと思い始めてる。
自然と表情を崩してしまうのも、真っ直ぐで素直な海斗だからだ。
『湊は、誰と生きていきたいの?』
「私はもちろん……」
もちろん早織だけだよ。
そう言うはずだったのに、一瞬考えてしまった。
本当に……私が生きていきたい人は早織だけかって。
早織の言葉が、重く胸の中に落ちてきた。
『私は……湊が大好きだから、何を選んでも湊を応援する。それだけは、忘れないでね』
「早織……うん、ありがとう」
必死な早織の顔に、私は苦笑いを浮かべる。
私を大切に思ってくれるからこそ、早織は私に真剣にぶつかってくる。
その度に、私はいつまでたっても、早織に心配をかけてるんだなぁって、思うんだ。
『湊はね、知らないんだよ』
「知らないって、何を?」
『湊が、どれだけ素敵な人なのか!!私の、自慢の親友なんだから!』
まんべんの笑みで言い知った親友に、私は面食らう。
自慢の親友って……。
どれだけ素敵な人なのか……なんて、そんな事言ってくれるののは、早織だけだ。