「……大丈夫、大丈夫……だか、ら……っ」
今更な気がするけど、私は海斗から顔を背ける。
「お前……そうか、強がりなんだな。いや、甘え方を知らねぇのか……」
海斗が何かをブツブツ言いながら、私を見つめてるのを感じる。
あぁ、どうしよう……。
どうやって、海斗に説明すればいいのか……。
次に何をすればいいのかが分からない。
そんなふうに困っていると……。
――バサッ。
頭に何かが被せられて、視界が暗くなる。
そして、ほんのりと柑橘系のフレグランスが香った。
「え、これ……」
「いいから、被ってな。顔は見えねぇし、その代わり……泣き止むまで、傍にいさせろよな」
くぐもった声が聞こえて、初めて頭から被せられたのが、海斗のジャージだったのだと気づく。
海斗、私が泣いてるから……。
そっか、気遣ってくれたんだ。
その優しさに、泣き止むどころかまた涙が溢れてくる。


