「私、気の利いたことも言えなかったよ?なのに、毒島さんは、それだけで嬉しかったの?」
目を見開いてると、海斗はフッと笑って、私の頭をワシャワシャと撫でた。
「えっ、ちょっと何すんの!?」
「ハハッ、だってよ、不器用で可愛いんだよお前!」
いきなり触ってくるとか、不意打ちすぎる!
そのせいで、バクバクと心臓が破裂しそうになった。
本当に、スキンシップが多いんだからっ。
「笑い事じゃないっ、真剣に悩んでるんだからっ」
「そーゆーとこ、好ましい性格だよ、本当に。そうやって、毒島のことを真剣に考えてやれる湊だから、毒島はありがとうって言ったんだと思うぞ」
「あっ……」
ストンッと、胸の中に何かが落ちてきた気がした。
欲しかった答えが、やっと見つかったみたいに。
素直に、海斗の言葉を信じられた。
「湊って、優しいヤツなんだな」
「えっ……な、何言ってるの。私は、そんな……」
そんな、すごい人間なんかじゃない。
なのに、嬉しいなんて思ってしまった。
でも、すぐに思い出すのは、早織のこと。


