「よく分からねぇなら、俺のことをこれからいっぱい教えてやるって」
「え、断る……」
「断るとか言うなよ!……つか、普通に寂しいだろーが!」
どうして寂しいのか分からないけど……。
海斗の距離が近いのをなんとかして欲しい。
動く度に海斗の肩とか腕にいちいちぶつかるんだ。
海斗は、初回から距離がやたらと近い。
それに、私は戸惑ってしまう。
「つか、どーしたよ」
「どうしたって……何が?」
「なんか今日、元気ねーじゃん」
え、どうして分かったんだろう。
私、自分で言うのも何だけど、顔に出るほうじゃないのに……。
片膝立てて、私を見つめる海斗。
その視線が向けられるだけで、鼓動が早くなるから、不思議だ。
制服じゃないジャージすらも、着こなす海斗は、やっぱりイケメンなんだなと思う。
好意があるかどうかに関わらず、イケメンの視線は脅威的だと改めて知った瞬間だった。


