そんなモヤモヤした気持ちを抱えたまま、私は体育館の壁に背を預けて座った。
ぼんやりと試合を見つめていると、隣にドカッと誰かが座る。
「よう、湊!」
驚いて隣を見れば、海斗が笑顔で片手を上げている。
出たよ、高橋 海斗!!
「……海斗、今度は何の用事?」
正直、今は毒島さんの1件で気分が沈んでるから、一人にしてほしいんだけど。
だからか、いつも以上に自分が無表情なのが分かった。
「何だよ、湊に話しかけるのに用事が必要なのか?なら……そうだな、湊のことが知りたいからだな」
「……やっぱり、海斗ってよく分からない」
だけど何でかな……。
この人のことが分からないと思う度に。
分からないからこそ、少しだけ……知りたいと思う。
って、いやいやいや。
ただ、得体の知れないモノが気になるだけだし。
『得体の知れないモノって……湊ってば、大げさだって!もっと、構えないで話してみなよ!』
呆れてる早織に、私はむくれる。
だって、早織以外の人間なんて、信用出来ない。
みんな、どうせ裏があるに決まってる。
そう、それこそ自分の利益とか、何かに利用するために近づいてくるんだ、毒島さんが言ってたみたいに。


