「普段なら見向きもしないのに、自分が1人の時だけ寄ってきたり、みんなが私に対してうわべで……学校が楽しくないんだ」


みんなが毒島さんを良いように使ってるってことだ。


それなら、そんな関係要らないって捨てられるのは、大切な存在が他にもいればの話。


でも、もし本当に心許せる人がいないのだとしたら……。



「簡単に、そのうわべの付き合いも、捨てられたらいいのにね」


「え……?」



私の言葉に、毒島さんが目を見開いた。

そんな毒島さんの背に回って、その背中を押しながら話し続ける。



「だって、人は1人で生きてはいけないから……。どんなにうわべでも、周りからの目が気になって、誰かといようとする」



私も、最初はそうだったかも。

でも、今はどうだろう。

もしかしたら、永遠に失われていたかもしれない、私にとっての光が……。

幻覚としてでも、私の傍にいてくれる。

それだけで、他の誰もいらないって、思う。



「すごい……なんていうか、胸が痛いな」

「え……?」

「だって、真木さんが言ってること、全部当たってる。私、周りに孤独だって思われたくないんだ」



そう言った毒島さんは、胸をおさえて俯く。

私、もしかして毒島さんのこと傷つけた?

自分の思ってることを、オブラートに包めないのは、昔からの悪い癖だな。

少し、反省していると、毒島さんは私を振り返った。