『私は、湊を裏切ったりしないもんね。でも、毒島さんには……そういう人がいないのかも』
……そうだね、早織。
私には早織がいたからこんな強がりを言える。
でも、本当に1人なら……。
『不安だよね』
まるで自分の事のように毒島さんの話を聞いている早織を、やっぱり優しい人だなと思う。
自慢の親友をもって、私は幸せ者だ。
「真木さんは、強いんだね……」
「私は、強くなんか……」
本当に強ければ、あの時、私が早織の手を離すことはなかった。
私に、もっと力があれば……。
「私、昔に親友だと思ってた子にいきなりハブられちゃって……」
「え、どうして?」
「私、ほらこの容姿イケてるわけでもないし、一緒にいてもマイナスだから……」
何となく、私には毒島さんがの気持ちが理解出来た。
人は、優劣をつけたがるし、イレギュラーを嫌う。
それはたとえば、毒島さんが言う容姿、そして、私のように、1人で喋ってるような、普通から外れた人。


