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「よーし、ペアになってストレッチをしろー」
2限目、体育の授業で体育館にやってきた私は、体育の先生に促されてストレッチをしていた。
私と組んでいるのは、毒島 文子(ぶすじま ふみこ)さん。
見た目は……決して明るいとは言えず、少しポッチャリしている見た目のせいか、暗い性格のせいか、私と同じで、クラスでは少し浮いている。
だから、必然的にペアは毒島さんと組むことが多い。
「あの、真木さんはどうして1人で平気でいられるの?」
「え……?」
長座のストレッチで、私の背中を押す毒島さんが、唐突に尋ねてきた質問。
それに、私は驚いて毒島さんを振り返った。
どうして1人でいられるのかって言われても……。
私には、早織がいるから、1人じゃないし。
でも、早織のことは毒島さんにももちろん見えないから、説明のしようが無いけど……。
「あの、いきなりごめんなさい。私と同じ、1人の真木さんにどうしても聞いてみたくて」
「うーん……大切なものは、他にあるから……かな。それに、うわべだけの無駄な付き合いならあってもなくても同じだし」
それなら、1人でいることを選ぶ。
でもこれは、私には絶対に裏切らない、早織の姿があるからだと思う。
視線を少しだけ右に外せば、ジャージを着た早織が、座って私を見つめてる。


