「違う、言ったろ?俺は真木 湊っていう1人の女に興味が湧いたんだよ」


「……興味が湧くなんて、おかしい」



だって私は……私には、何も無いから。

私より、たくさん輝くものを持っていたのは、早織。

なのに、早織は……。


――ズキンッ。


さっきと比べて弱いけど、頭痛がする。

ダメだ、考えるのを止めなくちゃ……。



そう思った私は、海斗にクルリと背を向ける。



「見学するのはいいけど、邪魔はしないで」


「湊……おい、待てって!」


「話し相手が欲しいなら、尚先輩と話して」




それだけ言って、私は奥の本棚へと歩いて行く。

今度は、後を追いかけてこなかった。



その後も、何度か私に話しかけようとこちらを伺っていたけれど、それをことごとく無視する。



どうせ、海斗だって周りの人と同じだよ。

私が変だって、遠目にクスクス笑ってる人達と、なんら変わりない。


傷つきたくないなら、近づかなきゃいい。

そうすれば、無駄に早織が気にすることもないんだから。



そして、17時まで図書委員会の仕事をした私は、海斗とはほとんど会話をすることなく、解散したのだった。