「決して月と太陽が同時に空に浮かぶことは無いけど、私と早織はね、いつでも傍にいて、支えあってるの」
「そういうことか……まさにお前達の関係にピッタリだな。姿を見ることは出来なくても、背中合わせに支えあってんだ」
海斗は分かってくれたみたい。
さすが、私の彼氏様だと感動する。
「そんな早織に怒られねーように、俺は湊を世界で一番幸せな女の子にするって誓うことにする」
「え……?」
そう言って海斗は私の右手を掬うように持ち上げた。
不思議に思っていると、海斗はまっすぐ私に向きなおる。
海斗、真剣な顔してる……。
改まって、どうしたんだろう??
「か、海斗……?」
「……湊、これ受け取って」
そう言った海斗が、スッと私の右手の薬指に何かをはめる。
そのヒンヤリとした温度と夕日に煌めくシルバーの輝きに目を見張った。
「こ、これっ……」
これって、指輪だっ。
しかも、なんの偶然か……月の模様が掘られたシルバーリング。


