「当たり前だろ、俺の基準は、もう湊と2人なら何したいか……なんだよ」
「うん、それがすごく嬉しい」
本当に綺麗な景色だな。
ねぇ早織、早織にも見えてるかな……?
……見えてるといいな。
「なぁ、アイツにも見えてるといいな」
海斗の言うアイツが、早織のことだとすぐに分かる。
海斗も同じことを考えててくれてたんだ……。
海斗のなにげない言葉に、胸がジンッとする。
「そう言ってくれてありがとう……。でも、きっと早織にも見えてると思うんだ」
私達は隣に並んで沈んでいく夕日を見つめて話す。
いつか、早織が私を月だと言ったことを思い出す。
『湊は、優しく静かに見守る……月の光みたいだった。私は湊がいたから、前向きでいられたし、辛いことも悲しいことも乗り越えられたんだ』
「早織が太陽なら私は月」
「どういう意味だ?」
「前にね、早織から言われたんだ」
早織は世界中を光で照らして、みんなに希望を与える。
私は暗い夜道をそっと照らすように優しく寄り添うんだって。


