「あははっ、ふざけないでよ」
「俺は大真面目だっつーの!」
大きな口を開けて笑ったのなんていつぶりだろう。
海斗といると、自然と笑顔になれるから不思議だ。
そう、まるで魔法みたいに。
そして、海斗とウィンドウショッピングをしたり、カフェでお茶をしたりした。
そして、「最後に連れていきたい所がある」そう言った海斗に連れられること20分。
電車を乗り継いでやってきたのは、東京タワーの展望台だった。
「わぁ……夕日独占してるね」
東京タワーについた頃には、時刻は17時。
ガラスの向こう、目の前にはオレンジの大きな太陽が西の空に沈んでいく最中だった。
「だろ、雑誌で東京タワーから見える夕日が綺麗だって知ってさ。一回でいいから、湊とこの瞬間を見たかったんだよな」
「海斗……そっか、私と来たいって思ってくれたんだ……嬉しい」
海斗の生活の中には、私がいるんだ。
ふと面白いテレビを見つけた時、美味しいデザートに出会った時、教えてあげたい。
同じ喜びを分かち合いたいって思うこと。


