昼下がり、早織の家を出た私たちは、2人で街中をプラプラと歩く。
もちろん、ギュッと手は繋いだまま。
「なぁ湊、今日クリスマスイブなんだよな」
海斗はショーウィンドウに飾られたクリスマスツリーを見てしみじみと呟いた。
「なんだか、今の今まで忘れてたよ……」
街中に流れるクリスマスソングにも気づけないほど、この2年間は早織のことで頭がいっぱいだったな。
「そりゃそうだろ、色々あったんだし」
「うん……。でもやっと、全部の肩の荷が降りた気がする」
世界が、少しだけ鮮やかに見える。
それって、悲しみに溢れてると思っていたこの世界が、本当は幸せに溢れてるって気づけたからだね。
これももちろん、海斗のおかげ。
だから、こうしてクリスマスを誰かと過ごせるのは、幸せだ。
それも、大好きな恋人となんだから、なおさら。


