「湊ちゃん、それから海斗くん。今日は早織のために来てくれてありがとう」


挨拶を終えて家を出ると、真央ママが私たちを見送りに出てきてくれた。


「俺まで、急にお邪魔してすみません」


「早織と話す機会をくれてありがとうございました」



海斗と一緒に頭を下げると、真央ママは首を横に振って、私と海斗の手を取った。



「いいえ、あの子のことを忘れずにいてくれた……。それだけで、とっても嬉しいわ」


「真央ママ……私、絶対に早織のことを忘れたりしません。ずっと一緒にいるって、約束しましたから」


私の中に早織がいる限り。

決して離れたりしない。

私の幸せが、私の中にいる早織の幸せに繋がりますように。

そう願って、私は海斗と幸せになる。



「ありがとう……ありがとうっ」


「また、顔を見せに来ます」


「えぇ、2人とも、時々顔を見せに来てくれると嬉しいわ」


笑顔を返せば、真央ママは嬉しそうに笑ってくれた。


きっと……ううん、絶対にまた会いに来よう。

真央ママは、早織の大切なお母さんだから。

私が海斗に救われたように、真央ママが笑顔になってくれるように。


そう決めて、私達は早織の家を後にしたのだった。