「ぶっ……くくっ、やっぱ面白ぇな、湊は」



え、どこが??

急に笑い出した海斗に、心底この人のことがよく分からないって思う。



「でもまぁ、今のは50点だぞ。ため息なしで、笑顔で呼べたら満点ってとこだな」


「無理」


「ははっ!湊のキャラ最高だな!」


やだ、この人邪険にされてるのに笑ってる……。

た、助けて早織……っ。


困って早織の方を見ると、早織はなぜか嬉しそうに微笑んでいた。


早織……?

どうして、そんな嬉しそうな顔してるの。

私は、困ってるんだからね。



抗議の意味を込めて早織を見ると、早織は悪巧みがバレたみたいな顔で、舌を出した。



「ん?おい湊、どこ見てんだよ?」


すると、海斗は早織と目を合わせていた私を不思議そうに見つめてきた。


そっか、海斗には早織が見えないから、変に思うよね。


「あ、そこにいるのかい、湊」


私の幻覚のことを知っている尚先輩が、普通に尋ねてくる。

なんというか、自分で言うのもなんだけど、よく信じてくれたなぁって。



「えぇ、まぁ……」


でも海斗がいる手前、曖昧に答えた。


変な目で見られるのは慣れた、だけど……。

私は、もう早織に傷ついた顔をさせたくないから。