「本当に、早織と過ごした時間は宝物だよ……っ」
あぁ、やっぱり堪えられないなぁ。
涙が次から次へと飽きずに流れるんだ。
「私との約束……ずっと一緒ってやつ、守ってくれてありがとうっ」
感謝しか無いんだ、心から早織を想うよ。
私が辛い時、いつでも傍にいてくれてありがとう。
「湊、俺からもいいか?」
「海斗?」
すると、私の隣に腰掛けていた海斗がそう言った。
それに、静かに頷く。
「……俺と、湊を出会わせてくれてありがとうな。きっと、どれが欠けても、俺達は出会えなかった」
そう……それはきっと、早織の『死』も含めて。
早織が死なずにいたら、きっと海斗の存在なんて気に求めなかっただろう。
「最愛の人と出会えた、そんな幸せを早織がくれたんだ」
「海斗……。私ももう、あの日に戻って、全てやり直せたらなんて思わない」
「湊……」
「今目の前にあるものを持って、今目の前にいる大切な人と歩いてくからっ」
喜びも悲しみも苦しみも……。
どんなものも私の受け止めるべきもの。
どれか一つ欠けてたとしても、今の……大好きな人と想いを通じ合わせる幸せ、新しい仲間と出会う幸せは……。
起きなかったのだと思うから。


