「海斗……うん、ありがとう」


「ん、どーいたしまして」



海斗が一緒に来てくれて助かった。

一人ならきっと、泣き出して足がすくんでしまっていたと思うから。



「さぁ、ここよ……」


「はい、ありがとうございます……」


お母さんが案内してくれた和室の部屋に、あの頃と変わらない笑顔を浮かべる早織の遺影と仏壇がある。



「早織……だいぶ、時間が経っちゃったけど……会いに来た……よ……っ」



私は、仏壇の遺影に笑いかける。

いきなり泣きそうになって、私はグッと目に力を入れて唇を引き締めた。


今なにか言ったら、きっと泣く……っ。


「湊ちゃん、私は少し席を外すわね。たくさん、早織と話してやって?」


「は、い……っ」



そう言うのが精一杯だった。

気を利かせてくれた真央お母さんが部屋を出ていくと、私と海斗の2人だけになる。

その瞬間に、ブワッと涙が溢れて、崩れるように座り込んだ。