「おい湊、お前何するつもりだ?」
「海斗……」
真っ青な顔で、川の水に浸かる私を見下ろす海斗。
心配、かけちゃうだろうな……。
でも、私はあの日から止まってしまった時間を動かしたい。
それは、私だけじゃなくて、早織の時間も。
「ごめん、海斗……でも、ちゃんと帰ってくるから」
だから、海斗を見上げて、苦笑いを浮かべた。
私馬鹿だから、こんな方法しか思いつかないんだ。
そう自分を奮い立たせて、私は向こう岸を見据える。
「……早織、行くよ」
『み、湊……』
「よーい、どん!!」
――バシャンッ。
私は、水の抵抗に抗いながら、必死に両手両足を動かした。
向こう岸へ、早織と行くはずだったあの場所へ。
それで、お願いを叶えてもらうんだ。
「湊!!嘘だろ、あいつ水が駄目だっていうのに……っ」
「湊ちゃん、戻ってきて!!」
後ろで、海斗と文子の叫び声が聞こえた。
だけど、私は立ち止まることができない。
ううん、立ち止まりたくないんだ。
「はぁっ……はっ……もう、何もできない、はっ、弱いままじゃ嫌だからっ」
――バシャンッ、バシャッ。
服に水が滲みて、体はどんどん重くなっていく。
それでも、手で水をかき分けて、その足でゴツゴツとした石の地面を蹴った。


