買い出しを終える頃には、空は茜色に染まっていた。
海斗に家の前まで送ってもらうと、私は静かに振り返る。
「荷物、持ってくれてありがとう」
「これくらい……こーいう仕事は男の仕事だって言ったろ?」
あぁ……図書室でのことね。
海斗が玄関に荷物を置いてくれるのを見つめながら、あの日のことを思い返す。
高いところにある本をとってくれた時のことだ。
「うん……」
「無茶ばっかりするからな、湊は」
思い返せば、あの時から海斗には助けてもらってばっかりだった。
本当に、感謝してもしたりない。
「本当にありがとう海斗。海斗の言葉が無かったら、私はまた……後悔するところだった」
命も、人の絆も……失ってからじゃ遅いから。
だから失わないよう、みっともなくてもいい、この気持ちを伝えることが大事だって。


