「実は、あの保健室でお母さんと言い争った時から、お母さんと仲直りできてなくて……」


「保健室??」



あぁそうだ、尚先輩は知らないんだった。

不思議そうな尚先輩に、私は簡単にあの日のことを話した。


「お互いに気まずくなっちゃってるの?」


「うん……。腫れ物に触るみたいに、当たり障りない会話しか出来てないかな」


文子の言葉に頷く。

なんというか、お母さんも私も……。

言った言葉にどこかしら罪悪感があって、歩み寄るのが怖くなっちゃったのかも。



「そっか、怖いんだな、また傷つけるんじゃないかって」


「あ……うん、そうなの……」



すごい、海斗、どうして分かったんだろう。

私が考えてること、そのままだった。



「どうして分かるの?って顔だな」


「海斗……やだ、怖いんだけど」



本当にどうして分かるの!?

心の中で叫んでいると、海斗は少し怒った顔をする。



「怖いは余計だ、怖いは!」


「ごめん、あまりに当たってたから……。でも、その通りで、私がお母さんを傷つけちゃったから、なんか近寄りがたくなっちゃって……」


でも、私のことをずっと心配してくれてた。

女手一つで育ててもらったのに、川で溺れたりして……。

きっとたくさん不安にさせた。