「……あの川に……早織を失った、あの川に行こうと思う」



そう、私が早織の手を離してしまった、あの日。

私と早織が重ねていくはずだった未来を奪ったあの場所へ。



「湊、本気なんだね、でも……もう迷いはない?もしかしたら、永遠に早織ちゃんの幻を失うかもしれないよ?」




尚先輩の問い、それはすでに答えを見つけた。

辛いけど……それでも私はいつまでも立ち止まってたら駄目なんだ。



「早織は私の傍にずっといる……そう約束したから。ただ、目に見えなくなるだけ、見えなくても、私の中にいるんだって……そう、早織との絆を信じてる」


「わぁ、もう強くなっちゃって。これも、素敵な彼氏のお陰かな?」



優しい眼差しで、そう言った尚先輩に私は笑って頷く。

そう、海斗が……私に気づかせてくれたこと。



「それに、あの場所に行けば……早織に会える気がする」



今は見えないけど、あの場所なら……。

なんとなく、これは予感でしかないけど。