「私が……私だけが大人になって、早織を置いてっちゃう……」
「そんなこと、ねーって。早織は、お前とずっと一緒にいるって言ってたんだろ?」
イチョウがハラハラと散る中、海斗は私を真剣な瞳で見つめてきた。
ずっと、一緒に……。
確かに、そう言ってくれた。
私も、そう信じて疑わなかったよ、でも……。
「でも、今はどこにもいない」
早織も、私みたいな白状な親友に、呆れちゃったんだ。
だから、消えて……。
「見えなくても、湊の傍にいるって、思わないか?」
「見えなくても……って、どういうこと?」
こうしている今も、早織が私の傍にいる?
だって、姿が見えないのに……。
「本来、人は死んだら見えないのが普通なんだ。でも、俺は、俺が覚えてる限り、この胸の中で、一緒に生きていくんだって思うけどな」
海斗は、自分の胸をポンッと叩いて笑う。
見えないのが普通……。
私が、見てた早織の方が、特別だった?


