大好きなきみへ、あの約束をもう一度




***


トボトボと、さっき先生から言われた言葉を頭の中で巡らせながら、海斗に手を引かれて病院を出た。


「湊、見てみろよ」


「え……?」


病院を出て、学校までの道のりを海斗と歩いていると、不意に海斗が足を止める。


海斗、急にどうしたんだろう?


不思議に思って海斗の横顔を見上げると、海斗の視線は、私たちが歩くイチョウ並木へと向けられていた。



「すっかり秋になっちまったよなぁ」


「え、あ……本当にね」



海斗が、しみじみ言うのも分かる。

季節がすぎるのってあっという間なんだ。

海斗たちと仲良くなった梅雨の6月も、海へ行って、夏の思い出を作った7月、8月も……。



「まるで、呼吸をするみたいに……早織がいた時間も、遠い昔になっていくのかな……」


「湊……」


早織……。

あなたがいなくなって、もう一年が経とうとしてる。

私は結局、いまだに早織のお墓参りにも行けてない。

受け入れられないんだ、ずっと。