「湊ちゃん、前より取り乱さなくなったとしても、付け焼き刃。幻覚は、見たいものだけ見れるわけじゃない」
そう、結局は……私の弱さが見せた幻。
でも、その付け焼き刃にも縋りたいほどに、辛かった。
「いずれまた、幻覚が悪さをして、湊ちゃんの心が不安定になることもあるかもしれない」
「分かってるんです、このままじゃ……根本的な解決にならないって」
早織を置いて、海斗たちと生きる未来か。
海斗たちを忘れて、早織との思い出に生きる過去か。
でも、私には……どちらかを選ぶなんて……酷すぎるよ。
「よく、考えて答えを見つけてほしい」
最後に言われたのは、その言葉だった。
先生は、選べって言うのかな。
過去と未来、私の生きる道を……。


