「海斗、離して!!」



それを振り払って、私はベッドから降りた。

そして、みんなから距離を取る。



「私は、早織の味方なの……私だけは、早織を裏切れないっ。ずっと……っ」



ずっと一緒にいるんだからっ。

それが、早織の命を奪ってしまった私の……唯一の、償いなのに!!



「はぁっ、はっ……はっ……」


バクバク、動悸が止まらない……。

息がしずらくて、無意識に首をおさえた。



「湊、落ち着け、俺らは早織のことを否定しないから!お前が大切なものは、俺も守るって言ったろ?」


「信じないっ、もう誰も!!」



もう、誰も彼もが敵のように思えて、怒りが抑えられない。

私が、私じゃないみたいに。



「湊……1人になろうとするな」


静かに、諭すように話す海斗が、一歩、また一歩と近づいてきた。

それから逃げる様に後ずさる。


「こ、来ないで……っ」


「湊には、早織だけじゃない……俺達もいる」


「違う……私には、早織だけっ……。早織のことしか、考えちゃ駄目なんだっ」


私が、他に大切なものを作ったから早織はいなくなっちゃった。

なら、もう早織のことしか考えないっ。

だから、お願い早織……帰ってきて!!