「……早織ちゃんの影を追うのはもうやめて、湊」


――ズキンッ。

影を追うのはやめてって……。

違う、早織は私との約束を守って、傍にいてくれたのに……。



「湊が早織ちゃんの幻覚を忘れない限り、ずっとこのまま……なのよ!?」


「私は、別に困ってない……このままでいいよ」


変わることなんて望んでない。

早織が、変わらず私の傍にさえいてくれるなら……。


「こうして倒れたりしてるのに、このままでいいはずが無いでしょう!?」


「それは……」


そんなの、分かってる。

頭痛もひどいし、幻覚である早織の言葉にショックを受けて……倒れたりして……。

このままじゃいけないって分かってても、私は……っ。



「幻覚ばかり見て、早織ちゃんのように、あなたまでいなくなったら、お母さんはっ……」


「もうやめて!!」


悲鳴を上げるように、叫んだ。

もう、やめてよ……。

胸がズキズキ痛くて、悲しくて涙が溢れた。