「おい湊っ……俺は、何をしてやればっ。くそ、湊っ……」
海斗が、悔しそうに私を抱きしめるのが分かった。
あぁ、もう……。
何もかも、考えたくないっ。
頭で考えたって、思考が追いつかないんだ。
悲しくて、辛くて、苦しい……。
この気持ちを、私は知ってる。
そう、本当に早織を失ったあの日……そう、あの日に感じた……『絶望』だ。
「湊、湊!!」
何度も、海斗が私の名前を呼ぶ。
私が、大切なモノを作ったからいけないのかな。
なのに、この人を好きになることをやめたくなかった。
……ごめんね、早織。
ごめんね……海斗、みんな……。
私を守ろうとする海斗腕の中で、私はプツンッと、意識を手放してしまった。


