「さお……り……」
「おい湊、しっかりしろ!」
「わ、私はまた……あの手を掴めなかった……私のせい、でっ」
ポタポタと涙が流れては、床に小さな水たまりを作る。
その一つ一つが、自分の罪の数に見えて、吐きそうになった。
「私が、早織のことを忘れたからっ」
消えちゃった、早織が消えちゃったっ。
どうしよう……どうしよう、どうしようっ!!
「い、いやぁぁぁっ!!」
「湊っ……くそっ、俺の声が聞こえてねーのか!?」
海斗が、私の肩を掴んで揺さぶる。
でも、それすら振り払う勢いで、私は行き場の無い痛みに耐えるように暴れだした。
「早織っ、早織!!」
「湊!!おい、俺の方を見ろって!!」
あぁ、誰か早織を……。
早織を助けてっ、私の大切な親友をっ……探して!!
早織を1人にしちゃいけないっ、ううん……私が、早織から離れられないっ。
頭が、混乱してくる……。
――ズキンッ、ズキンッ!!
「くっ……うぅ……」
すると、今度は頭が痛くなってきた。
そして、痛みは次第にグワングワンと大きくなって、酷い眠気に襲われた。


