「やぁ、本当に助かったよ!君は神様かっ」
「いえ、人間です……」
「あ、君、委員会は決まってる?俺は図書委員の委員長でね、ぜひ同じ委員会に入らない!?」
うちの学校は、一年ごとに委員会が選べる。
もちろん、同じ委員会を選ぶことも出来るんだけど、私はいつも余り物を選んでた。
「いえ、特には決めてませんけど」
「ならぜひ!!君みたいな気配りの出来る子が必要なんだ!」
ヒシッと繋がれた手に若干、体を引きながら、スキンシップの多さに困惑していた。
気配りしたのは、私じゃなくて早織なんだけどね。
なんて、言っても信じてもらえないから、言わないけど。
『ねぇねぇ、いいじゃん入りなよ!』
「えー……面倒くさい。それなら、早織だけ入ってよ」
って、早織はみんなには見えないんだった。
――ズキンッ。
その事実に、胸が痛む。
自分で言ったくせに、傷つくくらいなら言わなきゃいいのに、自然と早織を……私と変わらない生徒みたいに扱ってしまう。
だって、私には……ちゃんとそこに存在して見えてるから。
「ん?君は、誰と話をしているの?」
すると、案の定私を不思議そうに見つめてくる尚部長。
それにうんざりしながら、皮肉を込めて笑った。
「ここに、私の親友がいるんです。まぁ……私にしか見えないけど」
笑えばいい、馬鹿にすれば?
そんなふうに身構えていた私は、次の一言で拍子抜けする。
「そうか、ならよろしく!親友さん!いや、名前を呼んだ方がいいか、親友の名前を……いや、君の名前も教えてくれ!」
「……はい……?」
そう、こんな裏表のない尚先輩に、ようは心打たれてしまったわけで……。
『今にいたるんだよねぇ〜?』
ニヤニヤと笑う早織に、私は罰が悪くなって、フイッと早織から視線を逸らした。
早織には、私の心の中で考えてることも筒抜けだ。
それは、単に察しがいいとかじゃなくて、テレパシーみたいに、早織に伝わってるみたい。
それは、早織が幻になって私の前に現れたこととなにか関係があるのかもしれない。


