大好きなきみへ、あの約束をもう一度




***


放課後、私は誰もいない教室で、窓から見える空を眺める。

前に、早織と夏休みの予定を立てた時も、こんな茜空だったな。



「綺麗だね……」


『そうだね、だけど湊、図書室に急がなくていいの?』



飽きずに空を見上げてる私に、早織が苦笑いで尋ねてくる。

そう、今日は図書委員会の仕事があるんだけど……。

にしても、最近は本なんて誰も借りに来ないし、ほとんど暇なんだよね。



『今日も尚先輩と委員会かぁ〜』


「うん、そうですよ」


今日はちょっと……。

訂正、かなり個性的な三鷹 尚(みたか なお)先輩と図書委員の仕事で一緒なのだ。



『尚先輩って、イケメンなのに残念だよね。なんというか……個性的?』


「ふふっ、私もそれ思った」


でもまぁ……。

こんな、クラスで浮いた私にも、普通に接してくれるから、尚先輩の事は好きだ。


もちろん、尊敬する先輩として。



「でもさ、尚先輩って変わってるよね。私みたいな人間にも普通に話しかけるなんてさ」


私の噂のことは、私の同じクラスの図書委員の子に聞いてるだろうし。


図書委員は基本2人で当番をするんだけど、私と組むって言ってくれのも、尚先輩だった。