『さぁ、出発進行〜!』


「はーい」



なんか、早織の方が楽しそうだけど……。

そんな早織の笑顔が見られるなら、何でもいいや。

そんなことを考えながら、指すようにギラギラと輝く太陽の下、駅前へと向かう。


たった10分ほどの距離なのに、歩いて数分、首筋から背中に汗が伝って、服が張り付く。



わぁ、気持ち悪い……。

すぐにでも、お風呂にダイブしたいくらい。



『あ、もう海斗たち着いてるみたいだよ!』

「えっ?」


早織の言葉で、駅前の時計台を見ると、背の高い海斗と尚先輩に、文子の姿が見えた。


あっ、いけない!

私、ちょっとギリギリに出過ぎちゃったのかな?

腕時計を見れば、11時55分、待ち合わせ時間の5分前だった。


あ、ちょっとまずった。

そう思った私は、時計台まで慌てて走る。



「はあっ、ごめんねお待たせしてっ」


「おう、湊来たか……って……」



私は慌ててみんなに駆け寄ると、必死に息を整えた。

すると、海斗が何か言いかけたまま、口をおさえて固まる。