「それでも、私をイジメから救ってくれた、結果的には、溺れる私のために、怖い水の中に飛び込んでくれた……」


「文子……」



文子の顔を見つめれば、優しく微笑んでくれる。

それだけで、スッと胸のつかえがとれたかのように、軽くなった。



「私にとっては恩人で、大切な友達だよ」


「っ……文子!」




――ガバッ。


私は、たまらず文子に抱きついた。

本当に、文子を失わなくて良かったと……心から思う。

文子も、海斗も……私の、大切な人たち。



「本当に、無事で良かったっ……」


「うんっ、湊ちゃんのおかげだよ」



あぁ、私にも救えるものがあるんだ……。

本当に、本当に……良かったっ。



「湊、これからは……お前が自分の力で何とかできねーものがあった時、俺達が一緒に守ってやるから」


「え……?」



文子に抱きつく私の頭を、優しく撫でる海斗。



驚きながら、海斗の顔を見つめれば、フワリと笑われる。

時折向けてくれる、優しく慈しむような笑顔だ。