さっきの、余韻が残ってるのかもしれない。
ううん、確実にそうだ。
『湊』
すると、不意に早織に呼ばれた。
それに驚いて振り向けば、困った様に笑う早織と目が合う。
そういえば、早織どこにいたんだろう。
今までなら近くにいたのに、そういえば……プールの時間当たりから見かけなかった。
「早織、どこに行ってたの……」
早織がそこにいてくれることに、ホッとして泣きたくなる。
早織、いなくなったりしてなかった。
私が、あの手を離してしまったのに、ちゃんとここにいて、私に笑いかけてくれる。
『……湊が、私以上に誰かを必要として、いつか私のことを忘れられる日が来たら……』
「え、何言ってるの……?私が、早織のことを忘れる?」
そんなこと、あるはずない。
なのに、どうしてだろう……否定の言葉が出ない。
最近は、海斗や文子といる時間が楽しくて、早織と話すことが少なくなってた。
その間は、早織の姿も……見えなかった気がする。


