――バシャンッ!!
「ぶはっ!!」
早織の手を掴んだまま、水面に顔を出す。
そして、肺いっぱいに酸素を取り入れるように深呼吸した。
でも、やっと……早織を助けられたんだ。
もう二度と、離しはしない。
「ゴホッ……はぁっ、はっ」
「はぁっ、早織、本当に無事で良かっ……」
そして、隣を見て驚愕する。
助けたのは、早織じゃなくて文子だったから。
「けほっ、ありがとう、湊ちゃん……」
「あっ……う、ううん……」
私……文子のこと、早織だって錯覚してた?
早織だから、無我夢中でプールに飛び込んだんだ。
じゃあ、文子だったら……?
「本当に、湊ちゃんには感謝でいっぱいだよっ」
嬉しそうに微笑んでる文子に、ズキンッと胸が痛んだ。
この気持ちは……罪悪感だ。
私……最低だよ、文子のこと、早織と勘違いして。
「無事で……良かった、文子」
ごめん、文子……。
私……なんて酷い勘違いを……。
感謝される理由なんて、何にもない!!


