『湊っ、助けっ』
「早織……」
溺れてる文子と、あの日の早織の姿が重なる。
早く……早く助けなきゃっ。
「た、助けなきゃ……早織!!」
私は、全力でプールに向かって走る。
水が怖いとか、そんなこと考えてる余裕なんてなくて、ただ必死に、あの手を掴まなきゃと思った。
「馬鹿!!湊、やめろ!!」
後ろで、海斗の悲鳴に近い声が聞こえた。
それでも、私には、立ち止まることができなくて、そのままプールへと飛び込む。
――バッシャーーンッ!!
「っ……」
体が、一気に重くなり、沈んで行く。
それでも、必死に目を開いて、早織の姿を探した。
早織っ、早織っ!!
今度は、絶対に見つけるんだからっ。
手を伸ばした先に、早織の手を見つける。
それを、強く握りしめた。
もう、絶対に離さない……。
絶対に、離さないから!!


