「なぁ、文子とか、他にも呼ぶか!それなら、賑やかで楽しそうじゃね?」
「ふふっ、うん」
さっきまでとは打って変わって嬉しそうな顔しちゃって……。
それに、自然と口元が緩んだ。
そっか、私……海斗のこういうコロコロ表情が変わるところが、好きなのかもしれない。
へ、変な意味とか無しで、とっ……友達として。
「そういえば……」
こんな風に誰かと夏休みの予定を話すのは久しぶりだな。
最後に話したのは、早織とだから。
でも、あの時川になんて行かなければ……。
――ドクンッ。
「っ……」
悲しみが、この体を突き破って、しまいそうに痛い。
それに耐えるように、胸をおさえる。
「湊?おい、大丈夫か?」
「う、うん大丈夫だよ……」
大丈夫、大丈夫だよ。
自分に必死に言い聞かせて、海斗から視線をそらす。
「あのなぁ、全然大丈夫に見えな……」
「キャーッ、毒島さんが溺れてる!!」
海斗の声を遮ったのは、悲鳴だった。
プールサイドにいる生徒が心配そうに何かを見つめている。
――バシャンッ、バシャッ!!
「誰か、助けっ……ゴボッ」
足が攣ったのか、文子が溺れながら、必死に手を伸ばしているのが見えた。


